歯周病治療の流れ
歯茎の治り方やブラッシングの状態を確認しながら、次のステップの治療へ移行しますので、初期の歯肉炎であれば比較的短期間で終了することもありますが、中等度以上の歯周病の場合には、病状の程度にもよりますが、比較的長期にわたる場合が多いです。 治療後も引き続きメインテナンスが不可欠なので、定期的な受診が必要です。
精密歯周病検査について
歯と歯茎の間には、歯肉溝という1mm程度の溝があります。歯周病の原因菌はこの溝の中に入りこんで炎症を起こすので、歯周病になるとこの溝が深くなり、歯周ポケットと呼ばれる深い溝が形成されます。歯周病の検査では、この溝の深さを測ることで、歯周病の重症度をチェックします。3㎜までは健康、4㎜以上の歯周ポケットが存在する場合は、歯周ポケットが深くなるほど歯周病が重症であると診断されます。
保険治療で行う場合
歯肉炎、軽度歯周炎で歯肉縁下(歯茎の中の)歯石の沈着が認められない場合は、1〜2回の来院で歯石除去が終わります。中等度以上の歯周炎の場合、歯肉縁下歯石の除去に4〜6回かかります。また歯周外科が必要となる場合は、歯石除去が終わってから歯周外科処置となるためさらに期間がかかります。歯周外科処置が必要な部位数次第ですが、全て終えるまでに半年くらいかかると思っていただいた方が良いかと思います。
歯周外科処置(再生治療)は、手術範囲や使う材料によって治療の金額が変わります。保険適応の薬剤を用いる場合は20,000円を超えることはないと考えていただいてよいかと思いますが、手術前の説明をよくお聞きください。インプラント前の骨再生手術などは保険適応外になるため、100,000円~相談となります。
歯周病の予防
歯磨きで歯石になる前の歯垢の時点で除去するのが、ホームケアです。歯ブラシでは取り除けなくなった歯石を除去するのが、歯科医院でのプロフェッショナルケアです。
歯周病は全ての人が必ずかかるわけではありません。歯周病の多くは原因であるプラークや歯石をホームケアとプロフェッショナルケアによって除去することで、予防することができます。予防できない歯周病もありますが、遺伝性の病気など非常に特殊な場合です。
よくあるご質問
Q:歯周病は必ずかかる病気?
歯周病は必ずかかるわけではありません。原因であるプラークや歯石を歯磨きや、定期的な歯科検診などを受けることにより、除去することで予防できます。予防できない歯周病もありますが、遺伝性の病気など非常に特殊な場合です。
Q:プラークって何?
歯に付着している白または黄色の粘着性の沈着物。多くの細菌と、その産生物から構成されています。また、バイオフィルムとも呼ばれていて歯に付着するだけでなく、薬品だけでは除去しにくい状態になっています。そのためしっかりと歯ブラシ等で除去することが大切です。
Q:歯周病を治療をしなかったらどうなる?
歯周病は自然治癒することはありません。 サイレントディジーズ(静かなる病気)とも表現され、酷くなるまで自覚することの少ない病気です。放置しておくと、歯の寿命が短くなるばかりか、健康な歯にも悪影響をおよぼし、お口の中全体が悪くなっていきます。 最近では、全身疾患との関係も明らかになってきており、「歯周病は万病のもと」とも言ます。
Q:歯周病の治療期間は?
歯ぐきの治り方やブラッシング状態を確認しながら、次のステップへ移行しますので、初期であれば比較的短期間で終了します。中等度以上の歯周病の場合には、程度にもよりますが長期にわたる場合が多いです。 治療後も引き続きメインテナンスが不可欠なので、定期的な受診が必要です。
Q:治療が終わっても定期的に通ったほうがいい?
痛みがある・ないではなく、病気になる前に定期的に健診に行くことは非常に大事です。 歯周病は生活習慣病ですので治療が終了しても、ちょっとした油断で 再発し、再治療が必要になってしまいます。ご自身ではきれいに磨けているつもりであっても意外と歯垢は残っています。メインテナンスを行えば、磨き残しのチェックや、歯周ポケットから細菌を除去することができます。1~6ヵ月を目安に定期的に歯科医院に行くようにしましょう。 受診する間隔は、その方のお口の状態によりますので、担当医師にご相談ください。
Q:メインテナンスを途中で中断したのですが...
メインテナンスも重要な治療のひとつ。口腔内の細菌を除去し続けることが歯周病を予防し、お口の健康を維持するために必要となります。 歯垢は毎日の適切なブラッシングで除去することが出来ますが、深い歯周ポケットの中や歯並びの悪い所にある細菌はブラッシングだけでは除去できません。メインテナンスを途中で中断した場合、歯周病が再発したり、新しいう蝕が発生して、以前行った治療効果が失われてしまいます。専門的なクリーニングと、メインテナンスを継続していくことが、歯周治療のゴールとなります。
Q:電動歯ブラシで歯周病予防はできる?
正しく使うことが大切で、効果があるとは一概にはいえません。手動ブラシでも的確にポイントにあてることができれば十分効果はありますし、電動歯ブラシでもポイントにあたっていなければ効果を得ることはできません。ただし高齢や病気などの理由で、手を動かしづらい場合には電動歯ブラシは、効果的な道具となるでしょう。
歯ブラシを上手に使っても、歯の間には少なからず磨き残しができます。このような場所には歯間ブラシやデンタルフロスといった補助的な道具が必要になります。 どのような道具が適しているかは担当医師にご相談ください。
Q:オススメの歯みがき粉、またどれくらい効果があるの?
大事なのはどの歯磨剤を使うかではなく、いかにブラッシングでプラークを除去できるかどうか。様々な薬効が入っているものもありますが、プラークをしっかりと歯ブラシで除去した後のあくまでも補助的効果だと考えるとよいでしょう。 歯磨剤を使うとスッキリして磨けた気になりますが、実は歯の表面はザラザラした磨き残しがついていることがあります。時には歯磨剤を使わずに、どれだけ磨けているかセルフチェックをしてみましょう。
治療後は腫れがひいて、歯茎が下がるので、研磨剤が多く入ったザラザラしたタイプの歯磨剤を使用すると知覚過敏の症状が出やすいですので、気を付けましょう。
Q:歯周病って薬で治せないの?
薬だけでは治すことはできません。原因であるプラークは強固に歯に付着しています。そのため、薬品だけでは除去することができません。したがって飲み薬や洗口薬だけでは除去できないのです。歯石は歯ブラシでは取れないので、歯科医院で除去し新しい歯石がつかないように、ご自分で歯磨きを改善したりする必要があります。そのうえで必要ならば抗生物質の投与を受けることで歯周病の改善に効果を上げることがあります。
Q:歯周ポケットとは何ですか?
歯と歯ぐきの間には、歯肉溝という1mm程の溝があります。歯周病の原因菌はこの溝の中に入りこんで炎症を起こすので、歯周病になるとこの溝が深くなり、ポケットと呼ばれる深い溝が形成されます。歯周病の検査では、この溝の深さを測ることで、歯周病の重症度をチェックします。歯周ポケットが深くなるほど歯周病は重症であると診断されます。
Q:歯石を取るのは痛いでしょうか?
個人差はありますが歯ぐきの上についている歯石を取る場合、ほとんど痛みはありません。歯ぐきの中の歯石を取る場合は多少痛みを伴う場合もあります。その場合は麻酔をいたしますのでご安心ください。
Q:歯石を取った後、歯が沁みるようになったが大丈夫?
歯石を除去後、腫れていた歯肉が引き締まり歯根が露出する場合があります。そのため、一時的な知覚過敏の症状が出る方がいらっしゃいます。ほとんどの場合、優しく丁寧にブラッシングを続けているとおさまってきますが、症状が長引く場合には担当医にご相談ください。
Q:歯茎が下がってきたのですが、どうしたらよいでしょうか?
日本人は生まれつき歯の周りの骨や歯茎が薄い方が多く、ちょっとしたことで歯茎が下がりやすいです。原因として考えられるのは2つ、過度のブラッシングと歯ぎしりなどの咬み合わせの不和です。下がってしまった歯茎は基本的には元に戻りません。歯肉移植のような歯周形成外科といわれる手術が有効ですが、それらが必要かどうかも併せてご相談ください。
Q:口呼吸は歯周病に悪いの?
口呼吸は口の中が乾きやすくなり、乾燥することで歯周病菌は粘度を持ち、より強固に歯にくっつこうとします。口が渇いた時の歯の表面の粘つきがそれです。口臭を引き起こす原因にもなります。また唾液による自浄作用がなくなるため、口の中の細菌の活動性を高まり、歯周病や虫歯の進行リスクが高くなります。
Q:歯周病原菌が全身の健康に関係があるのは本当?
お口の中は微生物、細菌などが最も多く存在しており、あらゆる全身疾患と歯周病の関連性が近年の研究により指摘されています。関連を挙げられているものには呼吸器系疾患、心疾患、糖尿病や早産・低体重児出産などがあります。なかでも糖尿病は相関性が強く報告されており、逆に糖尿病は歯周病のリスクファクターである、といったデータが示されています。
Q:歯周病と早産・低体重児出産との関連性とは?
お母さんが歯周病の場合、歯周病によって引き起こされる炎症性物質が血流にのって全身をめぐり、お腹の赤ちゃんにも影響を与えることが近年の報告で示されています。
2012年には当院長である立石が、早産や低体重児出産、前置胎盤などでハイリスク妊婦と診断されたお母さんの出産時に、卵膜(胎盤付属組織)から歯周病原細菌である、P. gingivalisやF. nucleatumが見つかったことを報告しております。